その場にいるのが当然のように、本に目を落とし、静かに読み進んでいく。

誰も近づけないような孤高のこの姿、本当にため息がつくほど美しい。

こうしてみると、やっぱ、人気あるのはわかるよな……

わかるんだがしかし……

英次「先輩……一応売り物なんで、そこまで堂々と本を読まれるのは、ちょっと困るんですけど……」

神前「堀川君」

英次「はい」

神前「のど渇いた」

英次「だから、うちは喫茶店じゃない!」

神前「さっきの声、誰かに聞かせたくなるかも……」

英次「隣から紅茶でも出前させますか?」

くそ! 完璧に弱み握られてる! いい話で終わらして欲しかったのに!

神前「コーヒー、アイスアリアリで」

先輩、雀荘に出入りでもしてるのかな。